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ケミストブログ

春のおとずれ

みなさん、こんにちは。

八熊店Wです。

3月に入り、そろそろと春の気配が感じられる季節になってきました。

 

幼少の頃は、この時期になると、みずぶき、わらび、ぜんまい等の山菜を、両親と一緒に採りながら、春の訪れを感じていたものです。

 

母 「オトコぜんまいじゃなくて、オンナぜんまいの方を採るんやざ。」

  「う~ん、分かった!

・・・これは?」

父 「白い綿毛がいっぱい付いていてぷくっとしているのが、オトコぜんまい  で、こっちのひらべったい方がオンナぜんまいや。」

子 「わらびは?」

 「あんまり背が伸びてなくて、先がきゅっとしまったやつ。」

 …などど、両親に山菜の見分け方を教えてもらいながら、採っていたものです。

 そうして、みんなで採った山菜を、煮物や天ぷらにして食べるのが恒例でした。

 

 これらの山菜は、苦味が強過ぎて、ちょっと苦手でしたが、この山菜の苦味成分は、実は、とても体に良いものだったのです。

 

 山菜の「苦み」の正体は、大きく分けて2つあります。

 体の中で、過剰に発生した活性酸素を除去したり、酸化を抑制したりする作用のある抗酸化物質の「ポリフェノール」と、
余分な老廃物をからだの外に出し、腎臓のろ過機能を高めて、新陳代謝を活性化させるといわれている「植物性アルカロイド」です。

 人間の体は、冬の間は、体温を逃さないように代謝機能が低下し、脂肪や老廃物をためこみやすい状態になっています。こうした、縮こまっていた冬の体に刺激を与え、体を目覚めさせ、活動的にするために、山菜の苦み成分はぴったりなのです。

 

・・・とはいえ、苦くてあまり食べられなかった山菜。

その中でも、みずみずしくて美味しいなあと思ったのは、母が作ってくれる、みずぶきの煮物でした。

 記憶にある「みずぶき」は、茎も太く、真ん中に穴が開いているタイプのもので、下茹でした後、筋を剥く下処理が必要なものでした。

 私の故郷では、「みずぶき」と呼んでいましたが、他地方では、「カタハ」、「みず」、などとも呼ばれているそうで、茎も細く、下茹でなしで調理できる種類のものもあるそうです。

 

 家族で旬のものを採りに行き、それぞれに手分けして下処理や調理をし、そして、それをみんなで一緒に食べる。

今思えば、とても贅沢な時間だったなあと改めて思い出しました。

 

 なかなか、家族や友人みんなで集まって何かをしたり、一緒に四季を感じたりする機会もあまり取れない世の中になっていますが、当たり前に大切な事を、当たり前に出来る世の中に早く戻って欲しいなと切に願います。

 

以上、今回は、八熊店Wがお届けしました。

 

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